ホーム転落防止の“救世主”となるか ネットで話題の「昇降式ホーム柵」…多様化する列車に対応できる優れもの

誤ってホームに転落する事故が多いことから、昇降式の開閉ドアが開発されました。誰もが新しい予想外の動きをするドアに目を惹かれていると思います。全ての駅で導入するにはまだまだ難しいかもしれませんが、利用者の多い駅ではそれだけ転落の確率も上がるので、徐々に広まっていけばいいですね。しかし寒くなってくると事故ではなく、自ら踏切に飛び込む人も増えてきます。この間も近所で一人年配の男性が飛び込みでなくなってしまいました。寒くなり住むところもお金もない人が行き場をなくしているのかもしれません。

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JR東海道線の高槻駅(大阪府高槻市)と六甲道駅(神戸市灘区)に設置されているホーム柵が、インターネット上をにぎわせた。ホームに設置されているのは横向きに張られたロープ(ステンレス製ワイヤ)。列車が到着するとロープが上昇し、乗り降りができるようになっている。この「昇降式ホーム柵」は、ドアの位置や数が異なるさまざまなタイプの列車に対応できるのが特徴で、設置の際のコストダウンにもつながる利点がある。その一方で、視覚障害者の間からは安全を不安視する声も。ホームからの転落事故が問題になるなか、果たして“救世主”になれるのか-。(高橋義春)

「柵の開き方が斬新」「まさか真上に上がるとは…」「思わず見入ってしまった」

今年3月、JR高槻駅の1番と6番乗り場に設置された昇降式ホーム柵について、ネット上では驚きの声がわき上がった。JR西日本によると、昇降式ホーム柵は平成27年4月からJR六甲道駅の3番乗り場で全国で初めて実用化された。東海道線は、6~12両編成の多種多様なタイプの列車が運行されており、車両形式も1両に1~4ドアとさまざま。横に扉が開くタイプの従来型の「可動式ホーム柵」では対応し切れないという問題が指摘されていた。

そんななかで、浮上したのが昇降式ホーム柵。可動式ホーム柵とは違って戸袋(扉を収納する部分)を設置する必要がなく、幅最大8・5メートル分まで対応。ホームに設置する際の補強工事や搬入などが簡略化できることから大幅なコストダウンも図れるという。運用開始から1年半以上が経過した六甲道駅をよく利用しているという神戸市東灘区の主婦、戸政久子さん(55)は「乗客が乱れることなく、駆け込み乗車も見られなくなり、ホームでのマナーが良くなった」と話す。また、同市灘区の看護師、金丸あゆみさん(25)は「開閉式の可動式に比べて圧迫感がなく、違和感のない柵で安全が保たれているのが好感が持てます」と話していた。

そんななか、全日本視覚障害者協議会の理事、山城完治さん(60)は「幅が広いので、ドアを探すのに時間がかかってしまう」と昇降式ホーム柵に対する不安を訴える。昇降式ホーム柵には安全対策として、稼働する際には「ロープが上がります」「ロープが下がります」とアナウンスが流れ、柵に近づいたり触ったりした乗客に対しては「ロープから離れてください」「ロープに触れないでください」との音声が流れるようになっている。

日本盲人会連合総合相談室長の工藤正一さん(67)は「視覚障害者はしっかりしたものに触れることで安心感を覚える。いきなり音声による警告を受けて、うろたえるケースも少なくありません。車内のポスターなどで乗客にサポートをお願いする啓発を図ってほしい」と指摘する。視覚障害者にとって、駅のホームは「欄干のない橋」にたとえられている。

今年10月16日には、近鉄大阪線河内国分駅(大阪府柏原市)で視覚障害者の男性がホームから転落し、電車にはねられて死亡するいたましい事故も起きている。同協議会によると、平成6年から今年10月までに視覚障害者の転落事故や列車との接触事故が61件も発生しており、27人が死亡しているという。

山城さん自身も4年前にホームから転落して腰の骨を折った経験があり、「駅のホームを歩くのは綱渡りと同じです。ちょっとしたミスで転落してしまう。新たなホーム柵ができることは歓迎するが、障害のある人の目線に立った開発や検討をしてほしい」と話している。

国土交通省は、視覚障害者がホームから転落する事故が相次いでいることを受けて平成23年8月、1日当たりの乗降客10万人以上の駅を対象にホーム柵の設置基準(優先して速やかに実施)を示した。しかし、全国にある約9500駅のうち、ホーム柵を設置したのは1割にも満たない665駅(平成27年3月末現在)にとどまっている。コスト面だけでなく、多様な駅ホームの状況・条件などがネックとなり、ほとんど設置が進んでいない。

特に関西地方ではホーム柵の設置がかなり遅れており、JR西日本ではホーム柵を設置しているのは11駅しかない。同社は「昇降式と可動式のホーム柵整備は、並行して進めていく」としており、来春には大阪駅(大阪市北区)と京橋駅(都島区)で可動式ホーム柵を導入。京都駅(京都市下京区)や三ノ宮駅(神戸市中央区)、西明石(兵庫県明石市)では昇降式ホーム柵の設置準備を進めるなど、駅の状況によって設置するホーム柵を変えていく方針だ。

また、阪急電鉄も平成31年春までに十三駅(大阪市淀川区)に可動式ホーム柵を設置することを決めている。同省によると、平成27年度に乗客がホームから線路上に落ちたり、ホームで電車に接触した事故(自殺を除く)は全国で198件も起きている。これは鉄道における人身傷害事故件数の半数近くを占めている。乗客の命を守ることはもちろんだが、ひとたび事故が起これば運行ダイヤが大幅に乱れるだけに、鉄道各社にとっても駅ホームでの安全対策は急務だ。

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