室内飼いのストレス…犬猫の問題行動に「心の病」

室内で飼育されているペットは、少なからず心身的にストレスを抱えた生活を強いられる出でしょう。もちろん1日に最低1度は、十分な外の散歩時間を作ってあげたり、開放的な空間に連れて行くことで、ストレスを解消することもできますが、同じ空間に長時間閉鎖的に閉じ込められている状態は、人間であってもストレスの溜まることです。そう考えると逆に外に出られない引きこもりの人は、自分自身でストレスをかけていることになりますね。まさに悪循環はここから生まれるのでしょう。

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治療で改善

飼い主をかんだり、留守番中に家具を壊したり――。犬や猫の問題行動が、「心の病」と関係しているケースもあることが分かってきた。室内飼いの増加など、犬や猫にとってストレスや不安を抱えやすい環境が背景にあるようだ。

東京大学付属動物医療センターでは最近、問題行動を抱えた犬猫の来院が増えている。同大学准教授の武内ゆかりさん(動物行動学)は「問題行動が理由で、1週間に2匹は新たな犬や猫がやってくる。対応を始めた15年程前は2週間に1匹でしたから、随分増えました」と話す。

これまで、同センターに問題行動で来院した犬猫は600匹以上で、犬のほうが多い。犬も猫も、多くは室内で飼われていた。武内さんは「犬や猫にも心がある。人とペットの距離感が近くなる中で、ペットが飼い主に依存してしまったり、飼い主が叱るタイミングを誤ったりすると、不安やストレスをため込んでしまう」と説明する。

犬の症状で最も多いのは、人をかむなどの「攻撃行動」だ。原因の一つとして武内さんは生まれた直後の過ごし方を挙げる。「誕生後2か月程度は母犬やきょうだい犬と一緒にいたほうがいい。すぐに引き離されてしまったために社会性が身に付かず、必要ないのにかんでしまったりする場合もある」と話す。

不適切な場所での排せつ、家具の破壊、無駄ぼえといった問題行動を留守番中など飼い主の不在時にするケースもある。「分離不安」と呼ばれる。下痢や食欲不振になる場合もある。

同じ行動を過度に繰り返す症状は「常同障害」と呼ばれる。自分の尻尾を追うようにぐるぐる回り、時に尻尾をかみ切ってしまうことも。このほか、光や影を追いかけたり、自分の体をなめ続けたりする。

攻撃行動などの症状は犬だけでなく猫にも表れることがある。問題行動の治療を行っている井本動物病院(横浜市)院長、井本史夫さんによると、引っ越しによる環境の変化、多頭飼いなどストレスの様々な原因が考えられるという。

猫は単独行動を好むとされているが、「室内飼いが増えた結果、分離不安の症状が見られるケースがあります」と指摘する。「猫は気まぐれだから」と異常を見過ごしやすい面もある。

こうした問題行動の多くは治療によって改善できる。動物病院でカウンセリングをして原因を突き止め、飼い主とペットとの関わり方を改めるなどする。場合によっては、犬や猫に薬を投与することもある。

問題行動を治療する動物病院は増えている。2013年には、獣医師らで作る「日本獣医動物行動研究会」が、専門性を持つ獣医師を認定する制度も作った。現在、東京、神戸市などの7人が認定されている。

■ペットを心の病にしないためにどうしたらいいか。

武内さんは「愛犬や愛猫の普段の様子を意識的にチェックして」と話す。例えばトイレに行く回数、排せつの量などを覚えておく。変調があった時にすぐに気付ける。「あくびや舌なめずりが増えるのもストレスのサインなので、気になったら病院に相談してください。早期発見、早期治療が大切です」と助言する。

井本さんは「おもちゃで遊ばせ、ドッグランに連れて行くなど日頃からストレスを発散させてください」と呼びかけている。

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