<高収入男子>恋愛に消極的でも「いつかは結婚」のなぜ

高収入の男こそ彼女がいないという事実に驚きですが、仕事一筋で頑張ってきたからこその結果かもしれません。今現在彼氏彼女がいない男女に、いずれは結婚したいと考えている人は6割~7割もいるようです。いずれはいずれはと思っていて、何時の間にか、婚期を逃してしまう若者が多いようです。女性であれば出産までのタイムリミットも考えて、早めに打手を打つべきかもしれません。しかし結婚という長い人生においての、たった一人のパートナーを選ぶわけですから慎重になる理由もわかります。若い頃の結婚は周囲に流されて勢いでするものが多いので、離婚率も高いのが事実です。

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9月に発表された国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査2015年」によると、「いずれ結婚するつもり」と答えた未婚者の割合は、18~34歳の男性で85.7%、女性で89.3%でした。一方、異性の交際相手を持たない未婚者が男性で7割、女性で6割いるというデータも示されました。若者に「恋愛したい」より「結婚したい」という傾向が強く見られるのはなぜでしょうか。藤田結子・明治大教授(社会学)が読み解きます。

私の勤める大学で、ある女子学生は言いました。「彼氏ほしいっていうより、結婚したい」。交際相手がおらず、恋愛に消極的だという男子学生たちも「いつかは結婚相手が見つかると信じている」と口々に言います。ある学生はこう言いました。「マスコミが孤独死とかあおるからですよ」。

とくに、学歴や収入の高い20代男性の一部は、親の期待や周囲の既婚率が高いからか、結婚を人生で達成すべき目標の一つのように捉えているようです。私はここに、20代男性の「結婚したい症候群」ともいうべき傾向を垣間見ます。

◇「売り時を逃した30代女子を捕まえたい」

たとえば翔太さん(25歳男性、仮名)は、大変な努力をして海外の大学院を出ました。海外で勉強や仕事を続けたいと強く思っていますが、結婚の機会を考えると迷うそうです。

「これまで女性と付き合った経験がないんです。夢を追い続けたら結婚の機会を逃しそうだから、あきらめて日本で就職しようかと考えています」

達也さん(28歳男性、仮名)は日本の有名大学を卒業後、外資系企業に勤めています。「別に、仕事で何かを成し遂げたい野望とか、あまりないんです。何のためにお金稼いでいるんだっけ、(高級時計の)ロレックスって本当に必要なんだっけ、と思いながら働いています」

現在、達也さんに交際相手はいませんが、綿密な結婚計画を立てています。

「慶応とか出た女性がいいですね。育ちも頭も良さそうだから。で、かわいい子がいいです。でも、そんな20代女子はモテるから、今付き合って結婚までこぎつけるのは難しい。だから、女子たちが売り時を逃して30代になり、人生に迷っているときに捕まえたい。その時、自分が商社やコンサルで働いていれば高スペックな結婚相手として考えてもらえるので、そろそろ転職しようと思うんです」

心理学者・小倉千加子さんは著書「結婚の条件」(03年)のなかで、勤務先の大学の女子学生たちが、「経済力」「安定した職業」などの条件を満たした相手と「幸福な結婚」を夢見る様子を、鋭く描き出しました。

当時、女子学生たちにとって結婚相手は「理性と打算で選ぶもの」だったといいます。恋愛と結婚のつながりが弱まるなかで、今の20代男性の一部にも、似たような傾向が見られるようになってきたのでしょうか。

◇教室に男女がいても「出会いがない」

先の調査では、異性の交際相手を持たない未婚者が増え、男性70%(05年は52%)、女性59%(同45%)となりました。そのうち、「とくに異性との交際を望んでいない」と答えた人の割合は、男女とも全体の3割ほどでした。

学生たちは、恋人はほしいけれど、大学には「出会いがない」といいます。毎日、多数の若い男女が教室に同席しているのに、不思議です。彼ら彼女らによると、それは「出会い」ではないそうです。ある男子学生は「大学の人間関係の中で彼女をつくろうすると、周りにあれこれ言われそうで面倒なんですよ」と言います。

「女子と話す必要性を感じないし、男だけで話しているほうが楽しい」という声も聞きます。特に1年生の授業では、学生は示し合わせたように、教室内で男女分かれて席に座ります。左右に分かれて向き合うので、まるで合コンのようです。なぜ分かれて座るのかと聞くと、「それが自然だから」だそうです。

最近の大学生は男女がグループで旅行に行きます。B&B(ベッド・アンド・ブレックファスト)や民宿で、男女複数人が同じ部屋に泊まることも珍しくありません。「友だち同士なら普通に泊まります。何も起こりませんよ」と笑うのです。

90年代まで、日本では「東京ラブストーリー」(織田裕二、鈴木保奈美主演、91年フジテレビ)のような恋愛ドラマが高視聴率を取るなど、若者は恋愛に価値を見いだしていました。

自由な恋愛が日本の若者に広まって数十年がたち、もう特別なことではなくなったのでしょうか。2010年代の学生たちは今、結婚を「信じている」けれども恋愛を渇望してはいないようです。

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