笑顔はご法度? トップモデルが無表情を貫く理由

確かにトップモデルたちは無表情で、たんたんとステージの上を早歩きで颯爽とあるいていくイメージがあります。これには理由があって、あくまで主役は洋服でモデルではないことから、笑顔などがご法度になっているようです。モデルによって服が左右されるようなことがあってはいけないという事でしょう。年々モデルが痩せすぎで問題になり、今では決められた体重をクリアしていなければステージに上がれないという決まりができましたが、それでも骨のようにガリガリのモデルが今でも活躍しています。こういうモデルに憧れて無理な食事制限をし、体を壊してしまう少女たちもいるのでしょう。

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【AFP=時事】世界で最も美しく高価な服を着ているのに、皆一様に退屈そうな無表情──。ファッションモデルはなぜ、あんなに悲愴(ひそう)な顔つきをしているのだろうか?
「笑わない。とにかくそういうものなんだ」と語ったのは、仏パリ(Paris)のファッションウィークでキャットウオークに立った、ナイジェリア生まれで英ロンドン(London)在住のモデル、タイ・オグンコヤ(Ty Ogunkoya)さん(26)。トップモデルとして10年のキャリアを誇るオグンコヤさんだが、ショーで笑顔を見せたことは一度もないという。
スロバキア人モデルのクララさん(18)も、「ランウェイを歩く時は何か悲しいことを考える」と話す。「飼い猫が死んだ時のこととかね。バスにはねられて」
医学生でありながら新星モデルとして活躍中のマチュー・ビヨ(Matthieu Villot)さん(22)は、スマイル禁止という暗黙のルールが存在する理由は明確だと語る。「見せたいのは服であって、私たちの顔ではない。笑えば、服ではなく顔に注目が集まってしまう」
しかしファッション史家のリディア・カミチス(Lydia Kamitsis)氏によると、モデルは昔から無表情だったわけではなく、笑顔を見せなくなったのはむしろごく最近で、1980年代初頭、日本人デザイナーの山本耀司(Yohji Yamamoto)や川久保玲(Rei Kawakubo)が頭角を現した頃からだという。
当時はシンディ・クロフォード(Cindy Crawford)やエル・マクファーソン(Elle Macpherson)といった、強い個性を持ったスーパーモデルが活躍した時代で、その真逆を行こうとした動きだったと、カミチス氏はみている。
服の新作コレクションがショー形式で発表されるようになった1960年代、モデルたちは、笑顔を見せるのはもちろん、声を出して笑ったり音楽に合わせて踊ったりしていたという。「今日のモデルは、歩くハンガー扱い」と指摘するカミチス氏。「とにかく彼らの個性を消し去るため…主役は服なのだから」と話した。

■中には無表情にこだわらないデザイナーも
米ニューヨーク(New York)パーソンズ美術大学(Parsons School of Design)のパリ分校でファッション学部部長を務める人類学者のレイラ・ネリ(Leyla Neri)氏は、フェミニズムの台頭により「女性が自分たちの仕事をプロとして認めてもらう必要性」が生まれる中、「アルマーニ(Armani)のスーツを着て、強さを強調し笑顔も見せずにポーズを決める女性が目立つようになった」と話す。ただ、最初のムーディーでしかめっ面のモデルについては、60年代のブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)やジェーン・バーキン(Jane Birkin)だったとしている。
そして、現代のデザイナーは「よりミニマリストのビジョン」を持っており、「作品を見せる際には最大限自然な表情と体形を求めている」としながら、モデルたちについては「美の理想形」として見られていないことが、あまり理解されていないと指摘した。
とはいえ数年に一度くらいは、フランス人デザイナーのジャンポール・ゴルチエ(Jean-Paul Gaultier)といった独創性の強いデザイナーらが、笑顔のモデルをランウェイに送り出すこともある。
英デザイナーのポール・スミス(Paul Smith)が今年パリで開催したメンズウエアのショーでも、後半に笑顔を見せたモデルも数人いた。ショーの後にAFPの取材に応じたスミス氏は、「笑うように指示したわけではないが、笑うことが悪いとも思っていない。服がハッピーな気分にさせるのなら、笑えばいい」と語った。
ただ同じショーに登場したビヨさんは、どうしても笑えなかったという。ビヨさんいわく、あまり陽気に見え過ぎると滑稽に映るのではと気にするモデルが多いのだという。
オグンコヤさんも同意見だ。「ただ歩いて姿を消す方が楽。笑顔を見せようと思えば確実にハードルが高くなる」と認めている。
笑ってほしいと注文を受ければ笑うのだろうか? オグンコヤさんは「断る理由はないね」と答え、「この仕事をしていると、とんでもないことばかり要求されるから」と続けた。【翻訳編集】 AFPBB News

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