パスワード分からず困る遺族「デジタル遺品」生前に整理を

現代だからこそ問題になるデジタル遺品ですが、今や情報は大切なもので中には高価な価値が付く情報もあるでしょう。情報という形のないモノに価値がついて、やり取りされているからこそ、このデータをおろそかにしてはいけないのです。ただパスワードなどがかかったパソコン内のデータを確認することができなかったり、本人が亡くなってから家族が困ることもあるでしょう。こういったことが起きないように元気なうちにデータの整理をしておいたり、データを家族に引き継いでもらうなどして対処が必要です。しかし自分のパソコン内を他人に見られるなんて、ちょっと恥ずかしいですね。

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故人がパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器に残した写真や有料サービスなどの様々な情報は、「デジタル遺品」と呼ばれる。遺族がその取り扱いに悩むケースが増えている。

2016年版情報通信白書によると、15年末のインターネット利用率は13~59歳で90%超。60~64歳で82%、70代でも54%にのぼる。情報セキュリティーに詳しい東京電機大教授の佐々木良一さんは「いつ訪れるか分からない死に備え、誰もが日頃からデジタルの情報を整理しておくことが大事」という。

デジタル遺品の多くは、パスワードで守られている。佐々木さんは、遺族に引き継ぐべき情報は、ファイルやサービスなどの名称、ID、パスワードなどを書き出し、保管しておくことを勧める。

とりわけ注意したいのは、金銭が絡む情報だ。有料サービスはもちろん、こっそり行っている財テクなども記しておく。先物取引などでの損失を突然請求される、ネットオークションの購入者から商品未着の苦情を受けるといったトラブルに遺族が遭遇する可能性がある。

遺族向けのサービスも登場している。葬儀大手の公益社(大阪市)は7月、パソコン修理などの日本PCサービス(大阪府吹田市)と共同で、「デジタル遺品サポートサービス」を始めた。故人のパソコンのパスワード解除、データの取り出しなどを行う。

今月発足した一般社団法人デジタル遺品研究会ルクシー(東京)は、パスワード解除などを手がける業者の仲介や、デジタル遺品対策の啓発活動を行う。同法人理事で「故人サイト」などの著書がある古田雄介さんは「デジタル遺品は遺族トラブルの種にもなれば、癒やしにもなる。デジタルの『終活』が欠かせなくなっている」と話す。

■有料か?ネット契約よく確認
◎フロンティア法律事務所の弁護士、黒嵜隆さんの話
パソコンやスマホなどのデジタル機器は民法上、動産で、相続対象となる。プライバシー権は生きている間の権利なので、相続人がパソコン内の写真や日記を見ても法的な問題はない。

故人が契約したネット上のサービスについては、相続できるものもできないものもある。一般的に、SNSのアカウントなどは引き継げないことが多い。電子書籍や動画、音楽などのデジタルコンテンツも、契約者に利用権限を与えているだけで、相続できないと考えた方がよい。

現状では、ネット上のサービスに関する法整備は不十分で、事業者の対応もまちまち。金銭が絡むサービスを最優先に契約内容をよく確認することがトラブル回避の前提になる。

◆デジタル遺品は一覧表にして管理
〈1〉パソコン、スマホ内の情報を、「必ず引き継ぐ」「引き継ぎたい」に2分類。「必ず」に加えるのはネット銀行口座、有料サービス、住所録など
〈2〉それぞれの一覧表を作る。ファイル名やサービス(事業者)名、ID、パスワードなどを列記。パスワードは分けて保管するのが望ましい
〈3〉預金通帳などと一緒に保管。年1回見直す
※「見られたくない」情報は、分かりにくいパスワードを設定し、一覧表に載せないことで、目に触れる機会を減らせる
(古田さん、佐々木さんの話を基に作成)

■万一につながる「まず整理」
◎取材を終えて 自分のパソコンやスマホに、どのぐらい情報が入っているのか想像もつかない。だが、デジタル遺品がもたらしかねない様々な問題を考えると、何もしないわけにはいかなそうだ。とはいえ、死後の備えに、というのは少々気が重い。使いやすくするため、無駄なサービスがないか確認するため、まずは我がコトとして整理整頓してみようか。結果的に万が一の備えになるかもしれない。(斎藤圭史)

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