LINE参戦で始まる「格安スマホ決戦」の構図

友人との連絡手段と言ったらほぼLINEを利用していると言っても過言ではないのではないでしょうか。携帯会社に付属しているメール機能はもはやサブ的なもので、ほとんどのユーザーがアプリを利用した通信手段を使っていると思います。やはり利用者が多ければそれだけ連絡のとれる範囲が広がるので、人が人を呼ぶように広がっていきます。そんなLINEから格安スマホが発売されるとあって注目されています。今や連絡手段のメインとなっているLINEの通信がし放題、いくら使っても通信速度を気にすることなく上限なく使うことができるのです。これはLINEヘビーユーザーにとっては嬉しいサービスになるでしょう。

image

メッセージアプリ国内首位のLINEが、大手通信会社のインフラを借りて格安スマホを展開する、MVNO事業「LINEモバイル」の全容を9月5日に発表した。ほかの多くの事業者と同様、NTTドコモの回線を借り、10月1日から本格的にサービスを開始する。

3月にLINEはMVNO事業へ参入する意思を表明。「今夏に詳細を発表する」としていた。国内6000万人超のユーザー数を誇るLINEが本格参入すれば、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの通信大手3社の牙城を崩すのではないか。そんな思惑から注目が集まっていた。

■「初心者向け」と「ヘビーユーザー向け」 LINEのMVNO子会社であるLINEモバイルが発表したプランは大きく分けて二つ。スマホ初心者向けの「LINEフリー」と、SNSヘビーユーザー向けの「コミュニケーションフリー」である。

データ通信量にかかわらず、前者はLINEのメッセージアプリと通話が、後者はさらにSNSのフェイスブックやツイッターがそれぞれ使い放題となる。つまり、月間のデータ通信量が契約の上限を超えても、LINEやフェイスブック、ツイッターの通信速度は落ちない仕組みだ。

LINE取締役CSMO(最高戦略・マーケティング責任者)の舛田淳氏は「2年かけてユーザーを調査した結果、『データ通信量の上限を超えると通信速度が極端に遅くなり、途端にSNSが使えなくなること』への不満があることがわかった。そこで、月の途中で上限を超えても、SNSをいつもどおり使えるようにした」と語る。つまり競合を研究し尽くしたうえでの参入というわけだ。
競合の研究は「通信料金」でも
通信料金もライバルを意識したもの。ただ、「格安」だが、「最安」ではない。

料金は初心者向けプランが月額500円から。同じく初心者向けが5500円程度の通信大手3社に比べれば格安だが、MVNOとの比較では、299円と激安のフリーテルなどLINEより安いプランが複数存在する。

実は、過去1年で契約件数を最も伸ばした業者は、最安の会社ではない。ICT総研の調査によれば、個人向けで最も伸びたのは2014年10月に参入した楽天モバイル。2015年5月時点ではシェア2%にも満たなかったが、今年6月にはトップに躍り出た。

楽天モバイルの料金は、データ通信専用プランで月額525円から、通話もできるプランで同1250円からである。LINEモバイルはこのプランより少しだけ安い。LINEの舛田氏の“研究”とは、急成長中の楽天モバイルを強く意識したものだった。

■急成長の秘訣は「ポイント」

それではなぜ、楽天モバイルは大きく伸びたのか。急成長の秘訣はポイントにある。楽天モバイルと契約すると、楽天市場の買い物でもらえるポイントが2倍になり、さらに通信料金をポイントで払えるようになるのである。

楽天執行役員の大尾嘉(おおおか)宏人氏は「ポイント還元率が他社よりも圧倒的に高い。楽天市場は『7倍セール』など高還元率のセールもざらにある。私自身も今月の料金はすべてポイントで払っている」と強みを説明する。楽天市場で買い物をするほど得をする仕組みが、楽天モバイルの急成長の秘訣なのだ。

販売網の充実も成長に欠かせない条件だった。楽天モバイルを扱うショップは全国に99店舗(9月14日現在)。レンタル店のゲオに加えて、ケーズデンキなど家電量販店内のショップも目立つ。全国主要都市には、独自の実店舗も13店出している。

満を持して参入したLINEだが、ユーザーの開拓は簡単ではない。

ユーザー開拓の課題は?
まず楽天ポイントのようなユーザーの明確なメリットが少ない。販路もLINEのサイトにおける販売のみで、リアル店舗の出店予定は当面ない。量販店への出店も「量販店側から話があれば」(LINEモバイルの嘉戸彩乃社長)と受け身である。

また、楽天で実際にログインしてサービスを利用する会員数は8301万人と、LINEユーザーを2000万人も上回る。顧客基盤の厚みという点でも、楽天の背中を追うのは容易ではない。LINEは今後、音楽や動画の配信、ECといった自社サービスとの連携を進め、ユーザーのメリットを創出することが重要になりそうだ。

■市場拡大の一方、淘汰の波も

MVNO市場の伸びは目覚ましく、2016年末には2年前の3倍の700万人超に成長すると見込まれる。だが、市場の急拡大と裏腹に、淘汰の波も押し寄せている。

MVNOの事業者数をみると、2015年末時点で210社(総務省調べ)に上る。激しい価格競争が続いた結果、ほとんどの業者が赤字とみられる。実際、MVNOの先駆けである日本通信は個人向けの新規開拓を取りやめて、MVNO向けにシステム開発などサービスを提供する業態へと転換している。

収益化が厳しい事業であることは間違いないが、舛田氏は「赤字でいいわけではない。当然黒字を目指している」と断言する。強力なライバルがうごめく中で、どこまでシェア拡大を進められるか。LINEの挑戦は始まった。

シェアする

フォローする