<医療>残暑の日 危険な「尿が出ない頻尿」に注意!

夏になると体に入れる水分よりも、外に出てしまう汗などの水分の方が多くなることもあり、なかなか尿意を感じなくなる方もいるでしょう。冬に比べてトイレの間隔が長いのはこういったことに原因があります。それでも何度もトイレに行くのは面倒なので、個人的にはトイレの間隔は長めの方が助かるのですが、私は水分を取ると短時間で飲んだ水分に対してすぐに尿意を感じる体質です。なので割と多く飲んだ直後は外出すらままならない状況になります。毎朝起きてから500mlの水を飲みますが、1時間以内に2~3回はトイレへ行きます。

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9月になりましたが、残暑はしばらく続きそうです。気象庁の1カ月予報によると今後も全国的に平年より暑い日が続く見込みで、涼しい秋の到来はしばらく先かもしれません。暑い日の注意事項と言えば熱中症ですが、暑さが原因で起きる意外な病気があるそうです。それは「頻尿」。発症するのは比較的まれですが、時に命にかかわることもあるといいます。その仕組みと対策を、よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニックの奥井識仁院長に聞きました。【医療プレミア編集部】

◇前立腺肥大症の人は暑気あたりで頻尿になることがある

暑さで体調を崩すことを「暑気あたり」といいます。暑気あたりには、軽いものから重いものまでさまざまありますが、特に注意を要するのが熱中症です。今年は猛暑だったため、メディアでは連日、熱中症の警告が行われていましたが、その中に熱中症になると「尿が少なくなる」という説明があります。事実、暑気あたりになると体が脱水状態になり、トイレの回数は減ります。しかし時折、逆に頻尿になる人がいます。まれですが、命にかかわりかねない重症になることもあります。

泌尿器科に通院している男性の多くは、前立腺肥大症という病気を持っています。前立腺は尿道とぼうこうのつなぎ目にあり、クルミぐらいの大きさをしていますが、60代以降になると大きく肥大し、時にはこぶし大になることがあります。そのために起きる代表的な病気が前立腺肥大症で、排尿したい感じが強くなり(尿意切迫感)、何度も排尿に行き(頻尿)、排尿しても出し切れない(残尿感)などの不快感が付きまといます。

前立腺肥大症は、前立腺への血行が悪くなると症状が強くなります。肥満の人は脂肪に圧迫されて前立腺やぼうこう、直腸などを含む「骨盤内臓器」への血行が悪くなります。すると前立腺の新陳代謝は悪くなり、むくみやすくなって、前立腺肥大症が悪化します。長時間座ったままも同様です。また加齢とともに血管自体も衰えて血液の流れが悪くなるため、高齢の人はさらに症状が強くなります。

◇尿意はあるのに尿はあまり出ない

暑気あたりの時、前立腺はどうなるのでしょうか? この分野には症例報告がありません。前立腺肥大症の人でも大半は汗が出て排尿の回数が減るのですが、日ごろ診療をしていると、逆に重症の頻尿になる人が時折いることに気が付きます。体が熱を持ち、水分が不足すると、肺や心臓のような太い血管をもつ臓器には血液が流れますが、前立腺やぼうこうのような細かく細い血管しかない臓器の血行は著しく悪くなります。このため前立腺がむくみ、前立腺肥大症の症状が強くなって頻尿になると考えられます。

この時、体全体で見ると暑気あたりのため汗をかき過ぎ、脱水になっているので、あまり尿が作られていません。そのため尿意は感じているのに、あまり尿は出ないという状態になります。また前立腺が腫れているので、排尿時に痛みを感じる人もいます。もし、身近な60代以降の男性が暑い日に極端に何度もトイレに行くようになったら、あるいは前立腺肥大症で通院中の方の症状が著しく悪化したら、暑さがその原因の一つかもしれません。

ちなみに前立腺肥大症ではない人は、尿意は起きず、体が尿を作らないためほとんどトイレには行かなくなります。

◇ぼうこう瘤や慢性ぼうこう炎の女性も要注意

そして女性でもぼうこうの血行が悪い人は、同様の症状になることがあります。

たとえば高齢女性に見られる、骨盤の中の筋肉が衰えて、ぼうこうが膣(ちつ)から落ちてくる「ぼうこう瘤(りゅう)」という病気の人は、ぼうこうにつながる血管が長く伸びているために血行が悪化し、頻尿になりがちです。そのような人が暑気あたりになると、ぼうこうへの血行がさらに悪化し、さらに重症の頻尿になります。

またぼうこう炎を繰り返して抗生物質をずっと服用している人は、ぼうこうの中にカビである真菌が増え、その死骸を餌にして細菌が増えることがあります。その結果、ぼうこうがむくみ、頻尿になる人がいます。これは慢性ぼうこう炎の原因の一つなのですが、このような患者さんも暑気あたりで頻尿の症状が増します。尿があまり出ないのは男性の例と同じです。

◇脳梗塞の前兆になることも

これらの症状が危険なのは、頻尿の次には、もっと太い血管で同じように血行不足が起きる可能性があるからです。例えば、脳梗塞(こうそく)など命にかかわる危険な状態です。暑気あたりは、清暑益気湯(せいしょえっきとう)、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)など、体内の熱を取る作用のある漢方薬をうまく使うと、ある程度の予防や症状の改善が期待できます。加えて水分を十分に取り脱水を治すことが大切です。その上で、残暑の日に頻尿が悪化したら、泌尿器科医に「暑気あたりで脱水になり、調子が悪い」という可能性を伝えて、しっかり診察を受けてください。

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