<不妊治療保険>各社及び腰 保険金高く設計困難

高齢出産化が進んでいる中、同時に不妊治療を進めている夫婦の数も増えています。どうしても自然妊娠が年齢とともに難しくなってくるので、治療をせざる負えません。しかし今までは保険適用外の治療だったために医療費が高額になり、泣く泣く治療を断念するご夫婦もいたことでしょう。しかし見切り発車で保険適用の薬を認可しましたが、何処の製薬会社も高額な薬に手をだせずにいるようです。消費者側からしたらせっかく保険適用の薬が出ると楽しみにしていたのに、なかなか商品化されず、がっかりしているでしょう。

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金融庁が今年4月、不妊治療にかかる費用を補償する民間の医療保険を解禁したものの、生命保険各社が販売に二の足を踏み、保険が発売されない状況が続いている。当初から商品設計の難しさが指摘されてきたが、金融庁が見切り発車で解禁に踏み切っており、保険発売を期待していた人たちは肩すかしを食った形となっている。

体外受精と顕微授精の「特定不妊治療」は公的な健康保険の対象にならず、治療1回あたりの患者負担は30万円以上と高額になる。厚生労働省は不妊に悩む夫婦に助成しているが、日本産科婦人科学会の統計では治療1回あたりの妊娠率は全年齢平均で16.3%にとどまる。

厚労省は、安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」の柱である出生率向上策として、今年1月から助成金を引き上げるなどした。金融庁も足並みをそろえる形で4月1日に保険業法施行規則を改正し、不妊治療保険の販売を解禁した。

しかし、生保各社にとって壁になるのが商品設計の難しさだ。保険に加入するのは、不妊に悩んでいるなどして不妊治療を受ける意思がある人に限られるとみられ、通常の医療保険などに比べて保険金支払いの可能性が高くなる。また、どんな治療を何回受けるかも加入者の意思に任されるため、保険金が高額に上ることが予想され、生保各社は「採算が見込めない」(大手)とみている。

さらに、保険料などを積算するための不妊に関するデータが不足していることもあって、生保各社は「研究はしているものの、乗り越える壁は高い」と様子見の姿勢で、現時点では保険発売の見通しは立っていないのが実情だ。

こうした不妊治療保険の課題は、金融庁の審議会などでも議論されたが、具体的な商品の検討は保険会社に任せる形で解禁に踏み切った。金融庁からは「社会的なニーズがある中で、門戸を開く意味で解禁を判断しており、商品が出ないという可能性は織り込み済み」との声も出ている。

不妊症に悩むカップルを支援するNPO法人「Fine」の松本亜樹子理事長は「社会的に必要性が認められたと民間保険に期待していた当事者も多かった。このまま話が流れてしまったら残念だ」と述べ、早期の保険発売を望んでいる。【中島和哉】

【キーワード】特定不妊治療

不妊治療のうち、体外に取り出した卵子を培養液中で精子と受精させる「体外受精」と、取り出した卵子にガラス管で精子を注入する「顕微授精」を特定不妊治療という。日本産科婦人科学会によると、2013年に特定不妊治療で生まれた子どもは国内で4万2554人に上る。ただ、回を重ねるごとに自己負担も重くなるため、途中で治療を諦める患者も少なくない。

厚生労働省は04年から特定不妊治療費の助成制度を始め、晩婚化などを背景に助成件数は増加している。制度を随時見直しており、現在は最大6回目(40~43歳未満は3回目)まで助成金を支給。今年1月からは初回のみ従来の15万円から30万円に倍増したが「43歳以上の女性」「世帯所得730万円以上」の場合は助成の対象外となるなど制限も多い。

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