豊かな家ほど虫も豊富、虫にも“ぜいたく効果”

家の中に自分一人とは限らない、むしろ必ず自分以外にもたくさんの虫たちが潜んでいるという言葉に、ぞっとしてしまいました。私の友人は夏になるとセミが怖くて、外に洗濯物を干さないそうです。こんなに太陽が照りつけているのに外でカラッと洗濯物を乾かすことができないのは残念ですが、確かにあの大きなセミが高速でぶつかってくることを考えると外に出るのが怖くなります。しかし虫側からしたら、自分よりも何十倍も巨大な私たち人間の方がよっぽど恐怖的な存在だと思います。

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貧しい地域は生物多様性も低め、最新の都市生態学で明らかに
豊かな家ほど虫も豊富、虫にも“ぜいたく効果”
米国の家によく迷い込むゴミムシの一種。エサや外に戻る方法を探して家の中を歩きまわる。
家で一人きり、ということは本当はありえない。優雅に一人きりの時間を楽しんでいると思っていても、実際には小さなルームメイトたちが思わぬほどたくさんいる。米カリフォルニア科学アカデミーの博士研究員で昆虫学者のミーシャ・レオン氏はそう話す。

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「生態学者は研究時間のほとんどを遠く離れた見知らぬ場所で過ごします。家の中の野生について考えることはめったにありませんけれど、私たちは家の中にいるとき、野生生物、特に多くの虫たちに囲まれているのです」

8月2日付けの科学誌「バイオロジー・レターズ」で発表されたレオン氏らの研究によって、裕福な家にはそうでない家よりもたくさんの種類の節足動物、すなわち昆虫やクモなどがいることが明らかになった。家の大きさを考慮しても、裕福な家では平均100種類、あまり裕福でない家では50種類の節足動物が見つかるという。

米国人はアウトドアをこよなく愛するが、屋内で過ごす時間は増加しており、最近の試算では90%の時間を屋内で過ごすという。

人間は自分たちのために住居を作り出したが、家の中の生態系はほとんどわかっていない。2003年のある研究で、高収入地域の植生は低収入地域の植生よりも多様性に富んでいることが明らかになった。生態学者のアン・キンツィヒ氏は、この現象を“ぜいたく効果(luxury effect)”と呼んだ。

以来、研究者たちはぜいたく効果について詳しく調べ、家庭や地域の収入が生物多様性にどう影響するかを研究してきた。

今回、レオン氏のグループが解明しようとしたのは屋内のぜいたく効果だ。ある大きな研究プロジェクトの一環として、彼らは米国ノースカロライナ州ローリーで地域の経済状況を反映するように50軒の家を無作為に選び、屋内にいる節足動物のサンプル調査を行った。

「引き出しやクローゼットの中まで虫を探すようなことはしませんよ」とレオン氏は笑う。「でも、多くの時間を費やして、あちこち這い回りながらサンプルをかき集めました」

調査にかけた時間は1部屋あたり30分ほど。研究者たちが数えたのは、家の中にいた節足動物の合計数ではなく、その種類の数だけだ。平均的な家庭にいた節足動物は、生物の分類における「科」のレベルで61。中には、一生屋内で過ごせる虫もいた。

豊かな家ほど節足動物の種類が多い厳密な理由はわかっていないが、裕福な家は庭が広く、植物の種類も豊富なことが多いため、家の中で暮らす節足動物の種類も増えるのかもしれない。

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