焦点:「値下げ」にかじ切る企業、強まる節約志向 原資は円高

不景気が強まる中で高級志向から安い商品にシフトチェンジを考える企業が多くなってきているようです。確かに一部の消費者からは高級なもの求めているのかもしれませんが、大半の方が質よりも量と価格で選ぶ傾向にあると思います。私もその一人ですが、味や使用感など大して差がないのであれば、極力安いモノがいいなと思います。もちろん、安心安全をお金で買うという意味もあるのかもしれませんが、その辺は国内産を選ぶなど自己責任といったらい過ぎかもしれませんが、自身で選択することができるので、企業は安いモノを提供するという事で、私たち消費者に選択の範囲を広く提供してくれたらいいなと思います。

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[東京 8日 ロイター] – 消費の先行き不透明感が強まるなか、「値下げ」にかじを切る企業が出てきた。足元で急速に進んだ円高も、値下げ原資の確保に追い風となる。消費マインドが低下し、消費者の価格に対する姿勢が厳しくなり、アベノミクス以降続いてきた客数減を客単価アップでカバーする戦略は、大きな転換を迫られている。

「ここまで消費トレンドが冷えてくると、価格訴求にかなりのウエートを置き、売上高を戻す」―――。岡崎双一イオンリテール社長は6日、消費マインドの低下に対応するため、「お買い得感」を前面に打ち出す方針を明らかにした。

イオン<8267.T>の3―5月期決算では、主力の総合スーパー(GMS)事業の営業赤字幅が前年同期よりも拡大。岡崎社長は「思ったほど売り上げが伸びなかった」と振り返った。GMSを運営するイオンリテールは客単価が前年比2.6%増となったものの、客数は同4.2%減となり、客数減に苦しんだ。

小売り企業関係者らは、今年に入ってから消費にとってネガティブな材料が続いており、消費者マインドが低下していると指摘する。年初からの株安は「3―4カ月のタイムラグを経て、高額品の消費に影響している」(高島屋 <8233.T>広報)という。

さらに暖冬による衣料品の不振や熊本地震、中国の関税強化などによるインバウンド消費の縮小、ここにきて再燃する急速な円高・株安と続く。

足元で急速に進む円高は、輸出企業を中心とした大手企業の収益悪化へとつながる。収益悪化が現実のものとなれば、今冬の賞与や来年の春闘などへの期待は持ち難くなり、一段と消費を冷え込ませる要因となる。

業界では「唯一の明るい材料は猛暑。7月のセールは好調」との声が聞かれ、天候にすがる気持ちだ。

<好調企業も値下げへ>

値下げの動きは、業績が好調な企業にも広がっている。 エービーシー・マート <2670.T>は「お買い得品で離れた客を取り戻すことが必要」(小島穣取締役)とし、都心店に比べて20%程度安い価格帯の商品を地方・郊外店を中心に展開する。 ABCマートの16年2月期の既存店売上高は5.1%増。客数は4.3%減少したが、客単価が9.9%アップした。

しかし、今年度に入り徐々に変わり始め、5月、6月は客数減を客単価上昇でカバーしきれず、既存店売上高はマイナスに転じた。主に地方・郊外店で、これまで上昇してきた価格と消費者ニーズにずれが生じてきたという。 小島取締役は「消費者に価格センシティブな部分が出てきた。どんどん単価を上げていくイメージではない」とし、これまでのトレンドからの転換を感じている。為替予約を行っていない同社は、円高メリットを生かしていく考えだ。

アベノミクス政策による円安進行で、輸入物価が上昇。賃金引き上げや景気回復の期待もあり、14―15年には値上げが相次いだ。ファーストリテイリング <9983.T>傘下のユニクロも2年連続で値上げに踏み切ったものの、顧客離れを引き起こし、値下げへの転換を余儀なくされた。

都心部への出店強化が客層の拡大につながっているニトリホールディングス <9843.T>の似鳥昭雄会長は「いったん値上げをし、競合他社に流れると、価格を元に戻しても、客は戻ってきにくい。今後とも、いかなることがあっても値上げは一切ない」と言い切る。 海外で製造して輸入している同社にとって、円高はフォローとなるため「円高が続くようなら、値下げや品質の向上を検討していきたい」とした。

<過去のデフレ局面との違い>

中間層の購買力低下に悩む百貨店業界。三越伊勢丹ホールディングス <3099.T>の大西洋社長は、最も売れる価格帯である「プライスライン」の落ち込みが顕著と指摘するものの、自社の店舗のグレードを維持するためにも「プライスラインは絶対下げない」と語る。

そのうえで製造小売り(SPA)として、自社での企画・製造を増やし、価値を上げることに注力する方針だ。 地方や郊外店で一部廉価商品を導入するABCマートも「全て安くするのではない。以前のデフレとは違う」(小島取締役)と話す。

このように過去のデフレ局面との違いを指摘する声も少なくない。しかし、かつて「国民の役に立っていればデフレは悪くない」と発言し「値下げ宣言」をした似鳥会長(当時社長)から再び「値下げ検討」の言葉が出た。同氏は、今年から来年を展望して、消費の先行きが明るくなる展望は持っていないという。

消費マインドの悪化に引きずられるように、今後、値下げの動きが広がり、再びデフレ局面に入るのか―――。小売りの現場は正念場を迎えつつある。

(清水律子 編集:田巻一彦)

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