ベトナムに活路あるか――30代半ば、売れないお笑いコンビの苦闘

売れないから海外に出るとは行動力がありますね。お笑いの基準も日本と違って何が受けるのかも良くわからないし、移住したとして言葉の壁などもあるのに凄いと思います。最近のお笑い芸人は、その年はギャグも流行って有名になったのに、次の年では一気に人気が下降するという減少が見られます。視聴者の飽きが早いのが原因かもしれませんが、人気が少しでも下降気味になった芸人は素早く切るようなテレビ局の方針が浮き彫りになっている気がします。今年一躍有名になったらアキラ100%、ブルゾンちえみ、みやぞんは来年も今の位置をキープしているか気になります。お笑いも大切ですが、最近の芸人は番組の共演者との相性や、コメントを求められた時のトーク力などマルチな能力が求められています。

日本のお笑い界とは激烈な競争社会である。成功をつかめるのは、ごくひと握りでしかない。30代、40代。年齢を重ねるごとにリタイアする芸人たちが数知れないなか、まだあきらめられない。まだやれる――ベトナムを再挑戦の舞台に選んだ芸人コンビがいる。30代半ば。決して楽ではない。でも、ここにはやりがいがある、という。

若手漫才の日本一を決める「M-1グランプリ2017」の最終決戦進出メンバーが、間もなく出そろう12月3日夜。青いスーツに身を包み、髪をアッシュに染めたお笑い芸人の井手一博(34)はスマホを見つめ、その動向についてツイッターで情報収集していた。ここは東京の会場から遠く離れたベトナム南部のホーチミン市。かつては自分も出場していた舞台に、もう未練は残っていない。

「M-1に出ることはもうないでしょうね。遠い存在になってしまいました。それに日本の芸人さんたちとは今、やっていることが違いますので」

吉本興業所属のお笑いコンビ「ダブルウィッシュ」の井手と中川新介(35)は、自分たちの出番を前にスタジオの楽屋で待機していた。ベトナムのテレビ番組制作会社の創立10周年記念イベントに、出演者として招かれていたのである。

これから若いベトナム人の観客約150人を前に、ベトナム語でコントを披露する。発音がうまく通じるかどうか。かつ、笑いを取れるのかどうか。ベトナム人MCから紹介されると、スポットライトに照らされた2人が勢いよくステージに現れた。拍手が沸き上がる。張り詰めていた糸が吹っ切れた。

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