「まるで割れた瓶」 脱北兵を救った医師、当時の様子を語る CNN EXCLUSIVE

基本構造は同じ人間であるものの、彼の回復が早いのは、熾烈であるあの境遇を生き抜いたからこその生命力なんでしょうね。極端に言えばあれほどの寄生虫を体内で飼いながらも今まで生き延びていたほどです。何とか峠を越せたならば、余計な同居者もいなくなったことで、信じられないほど身軽になれたのではないでしょうか?同時にまだ山場は控えていると思われますが、北からの開放という面も大きいはず。その上で脱北するまで得られなかった心身休まる個室に真っ当な食事。ある意味地獄から3食昼寝つき待遇に変わったようなものです。恐らく劇的な変化に兵士自身の精神が追いついていないでしょうけどね。彼を射殺しようとした兵士ですら同じような状況で、総大将に命を無理矢理かけさせられている状況って考えると憤りを感じずにはいられません。

ソウル(CNN) その連絡を受け取ったとき、イ・グクジョン医師はすでに多忙な1日を過ごしていた。連絡によれば、米軍のヘリコプター「ブラックホーク」が負傷した兵士を運んで病院に向かっているという。しかも、ただの兵士ではなかった。

「わたしは、彼が北朝鮮によって、ひどい銃撃を受けたと知らされた」。イ医師は、11月13日に起きた出来事を振り返りながらそう語った。

イ医師は重篤な状態にある兵士に会うためヘリパッドに向かった。

イ医師は「バイタルサインは不安定で、低血圧症のため死にかけていた」と語った。「まるで割れた瓶のようだった。十分な血液を送り込むことが出来なかった」

北朝鮮兵は軍事境界線を越えて脱北する際、5回の銃撃を受けていた。銃撃を受けた脱北兵は韓国軍兵士によって引きずられて安全な場所まで移動した。そして、ヘリコプターで25分間飛んで病院へ向かった。

脱北兵を救おうという努力は6時間以上にわたって続いた。

亜州大付属病院の手術室に運び込まれた後、最初の30分は医師団らは兵士の呼吸を維持しようと作業した。

兵士は右ひざや腕などに銃弾を受けていた。

しかし、より深刻な事態はこれからだった。

兵士の腸に穴をあけた銃弾を取り除くため5時間の手術が行われたが、イ医師は20年のキャリアのなかで初めての事態に直面した。寄生虫だ。

腸の傷を少なくとも7カ所ふさごうと手術したが、白い寄生虫が兵士の体内から、はい出てきたという。「すべてが血に染まっていたが、寄生虫だけは基本的に白色で、太く、大きく、長く、とても硬かった」(イ医師)

手術中、兵士の容体は何度か不安定になり、イ医師は兵士が手術台で死亡するのではないかと考えたという。「彼が助かったのは奇跡だ」

兵士の体内から全ての寄生虫が取り除かれた。最も大きいものは体長27センチもあったという。

イ医師は「彼のことをとても誇りに思う。自由のために北朝鮮から逃げ出した。言うのは簡単だが、そうするのはとても難しい。だから、私は彼を称賛する」と述べた。

2日後に3時間超の手術を行った。兵士は医師団も驚くほどの回復ぶりを見せているという。

脱北兵は歩いたり話したりするほか、自分でトイレにも行けるという。容体は安定しているが、状況は依然として厳しい。兵士は結核やB型肝炎にかかっており、体調の回復に影響を与えている。兵士は精神科の治療も受けているという。

兵士は悪夢に悩まされ、何度か自分がまだ北朝鮮にいるのではないかと恐怖を示したという。このことから、イ医師は兵士を安心させるために病室に韓国の国旗を飾ることにした。

「彼は実際、私に『本当に韓国ですか』と聞いてきた。私は、『あの旗を見てごらん。あの旗を北朝鮮で見たことがあるかい』と言った」(イ医師)

今のところ兵士の状態は依然として非常にデリケートであり、イ医師は韓国当局に対して、兵士に対する尋問を延期するよう強く求めたという。兵士は国境地帯で任務に就いており、北朝鮮軍に関する貴重な情報を持っている可能性は高い。

イ医師は、兵士の気持ちを軽くしようと、音楽を聴くことを勧めた。兵士はKポップのグループ「少女時代」が好きで、テレビも見るという。最初に見た映画は「トランスポーター3 アンリミテッド」だった。

兵士によれば、北朝鮮では米国や韓国のテレビドラマは人気だという。このことは、一部の人々は国外のメディアにアクセスしていることを示唆している。イ医師は「とても驚いた」と語った。

イ医師は、脱北兵が生き延びたのは奇跡だが、これは、医師団が毎日、全ての患者に対して行っている取り組みの結果だと力を込めた。

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