夫の死後に義父母と縁切り 急増する「死後離婚」って何?

こうした一部の法に詳しい人だけが知りうる裏技が世間に知れ渡っていくことによって、義理の親が怯えて暮らすような時代が訪れるかもしれません。因果応報となるのは自分の責任なので仕方ないとして、子の婿や嫁に尽くしたところでアッサリ見限られる可能性もあるわけですから。良好な関係が築けたならば夫婦にとってはどちらの親も家族でしょうから、良識に基づいた判断が出来ると信じたいところですけど、昨今の人間関係って些か冷め気味なところがあるので過信は禁物。

「夫と同じ墓に入りたくない」「死んでまで姑と一緒なんてイヤ」

 こうした考えの妻たちがいることは、以前からいわれてきた。墓の中まで……。嫁と姑のいさかいは、いつの時代も根が深いのだ。昨今は、50歳になっても結婚しない義兄や出戻りの義理の姉らの存在も増えている。“跡取り息子の妻”たちの立場は、複雑になっていると言っていい。

 そんな中で、「死後離婚」が、新たなキーワードとして浮上している。文字通り、夫(配偶者)が死んだ後に“離婚”することである。

「通常の離婚は、離婚届を出すことで夫婦の縁は切れ、自動的に双方の姻族との関係も消滅します。ですが、死別のケースは事情が違う。たとえば、58歳の夫(配偶者)が急死した場合、婚姻関係はなくなりますが、義理の親の扶養義務などはそのまま継続されるのです」(「谷口咲司法書士事務所」谷口咲氏)

 妻がこれまで義理の母からひどい仕打ちを受けてきたとしても、ヨボヨボになった義母の面倒を見る義務は残るというわけ。

 そこで注目されているのが、「姻族関係終了届」だ。これを市役所に提出すると、夫を失った妻は、配偶者の家族との縁が切れ、義理の親兄弟の扶養義務もなくなる。冠婚葬祭を含め親戚付き合いから解放されるのだ。

「届け出と同時に、亡夫の親兄弟に“届け”のコピーを郵送して通知しておくといいでしょう」(谷口咲司法書士)

 法務省の戸籍統計によると、姻族関係終了届の提出数は増加中だ。平成17年は1772件。以降、緩やかに増え続け平成27年には2783件に。10年間で1・57倍になった。

 どんなに出来がいい妻でも、夫の死後、義理の親の介護をさせられ、単身の義兄の食事の面倒を見る――なんて事態になったら運命を呪うだろう。なお、死後離婚が成立しても妻は遺産相続ができるし、遺族年金も受給できる。

シェアする

フォローする