がん、心筋梗塞、脳卒中…日本「3大疾患」治療のお値段

どんな病気でもひとたび発症してしまえば、その治療額で生活ががらりと変わってくるでしょう。貯金がなければ、治療のための費用をかき集めなければなりません。親戚中に頼み込んで、なんとか治療費を集めても、一時的なお金でなく、通院のための費用も毎回支払いが必要になります。貯金でもない限り適切な治療は受けられません。また自分自身で稼がなければならないとなると、病気で重い体を奮い立たせて体に鞭を打ちながら働くことになります。高い健康保険を支払っていても、三大疾患になればうん十万の支払いが課せられます。貧乏人は病気ができないとよく言いますが、まさにその通りだと思います。

■がん

がん治療は、「手術」「抗がん剤」「放射線」が3本柱。一般的に治療費は100万~200万円といわれる。がんの種類、進行度、手術の難易度や患者の年齢などの条件の違い、治療方法、入院日数、検査・薬の種類によって変わる。

たとえば大腸がんなら、結腸切除手術を受けて2週間入院した場合の医療費は40万円ほど(3割負担)。術後に抗がん剤治療を6カ月行うことになれば、薬剤の種類によって1カ月あたり「2万5000~10万円(3割負担)」×6カ月分の費用がかかる。

ただ、保険適用内の治療であれば、公的助成の「高額療養費制度」を利用できる。乳がん治療を経験したファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏は言う。

「病院や薬局などへの支払額が1カ月で一定額を超えた場合、超過分が支給されます。自己負担限度額は年齢や収入によって異なりますが、70歳未満で月収28万~50万円であれば、1カ月の限度額は〈8万100円+(医療費-26万7000円)×1%〉です」

医療費が100万円(3割負担で約30万円)だとしても、月9万円弱+差額ベッド代等で済む。しかし、治療が1年続けば年間100万円強が必要だ。

保険適用外治療の場合は全額自己負担。一部がんを除く重粒子線治療(平均309万円)、陽子線治療(平均268万円)などの先進医療は高額だし、国内未承認の抗がん剤は月100万円超えが多く、約646万円かかる薬剤もある。

「その場合、先進医療特約などが付帯した民間保険に未加入だと負担は大きい。しかし、加入していたとしても、その治療が保険金の支払い対象になっているかどうかはまちまちです。先進医療に特化した1カ月500円の医療保険もありますが、給付条件の確認が大切です」(前出の黒田氏)

■心筋梗塞

心筋梗塞は、動脈硬化などによってできた血栓が、冠動脈に詰まって心臓に酸素や栄養が届けられなくなり、心筋の一部が壊死する病気だ。

血流再開治療の「カテーテル治療」は1週間程度の入院を含めて約30万~40万円。外科治療の「冠動脈バイパス手術」になると、2週間弱の入院で約100万~150万円(いずれも3割負担の場合)。ただ、保険適用されるので高額療養費制度を利用できる。

最近は、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使った手術が広がっている。小さな穴を開けて内視鏡を使って行われるので、出血や術後の痛みが少ない低侵襲な手術とされる。

「ただ、保険適用外なので全額自己負担。最も簡単なものでも350万円程度かかる。開胸手術と比べて心臓の回復具合が明らかに上回るわけではないので、メリットを見極める必要がある」(心臓外科医)

■脳卒中

脳卒中の大半を占める脳梗塞は突然起こる。状態に応じてさまざまな治療法があるが、基本的には保険適用の治療だ。

発症後4時間半以内であれば、血栓溶解療法(t―PA)が検討される。20日前後の入院で、窓口請求額は治療費、入院費含めて約60万円。t―PAで十分な効果が得られない場合は血栓回収術となり約90万円。バイパス手術やステント留置術などになると高額で約120万円(いずれも3割負担の場合)。

「治療費だけでなく後遺症軽減のためにも早期来院早期治療が重要。そのために初期症状を見逃さない」(東京慈恵会医科大学神経内科・井口保之教授)

「ろれつが回らない」「言葉が出ない」「片方の手足に力が入らない、じんじんしびれる」「片方の目が見えない」など、突然こんな症状に襲われたら、様子見せずに救急車を呼ぶ。

後遺症でリハビリが必要になった場合、慈恵医大では脳に刺激を加えて不自由な部分を動かす「磁気刺激療法」という選択肢がある。開発したリハビリテーション医学講座の安保雅博教授は「2週間の入院で診療費総額は約17万円。筋肉を柔らかくするボツリヌス注射をすることがあり、上肢なら1回で最大約7万5000円」だという。

それも、毎日の適切なリハビリと組み合わせてこそ効果がある。

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