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宇宙空間の謎の現象、彗星の大群が原因か NASA

(CNN) 宇宙空間で観測された恒星の明るさをめぐる謎の現象は、彗星の大群が引き起こしているのかもしれない――。米航空宇宙局(NASA)がそんな説を発表した。この現象は専門家にも説明が付かず、地球外生命体関与説まで取り沙汰されていた。

注目されているのは地球から約1500光年の距離にある恒星「KIC 8462852」。天体観測のクラウドソーシングサイト「プラネット・ハンター」のユーザーがNASAのケプラー望遠鏡のデータを解析し、この恒星の明るさが弱まる現象を突き止めた。恒星からの光は、時として20%も暗くなることが分かっている。

これに関して、NASAとともに彗星の大群説を発表したアイオワ州立大学の研究チームは、NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡の観測データを解析した結果、「彗星の一群が非常に長い、変わった軌道を描いてこの恒星の周りを周回している可能性がある」「その先頭にある非常に大型の彗星が、恒星の光を遮っているのではないか」という説を打ち出した。

NASAによれば、ケプラー望遠鏡では「可視光線」のみを観測しているのに対し、今回の観測では赤外線を調べたという。

アイオワ州立大学のマッシモ・マレンゴ准教授は、この説を裏付けるためにはさらなる観測が必要だと指摘。「この星はとても変わっている」「この星の周辺で、まだ我々が知らないことが起きているのかもしれない。だからこそ面白い」とコメントしている。

この現象については地球外知的生命体探査プロジェクトの「SETI」も10月から観測に乗り出していた。これまでのところ、地球外生命体の存在をうかがわせるような電波信号は検知されていないという。


火星にリング形成か=2000万年後以降、土星に類似―衛星フォボス崩壊で・米大学

火星の周りを回る二つのごく小さい衛星のうち、最大直径約27キロの「フォボス」は2000万~4000万年後に崩壊し、破片の一部が土星のようなリングを形成する可能性があると、米カリフォルニア大の研究者らが23日付の英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス電子版に発表した。
形成されたリングは100万~1億年程度維持される見込み。崩壊は火星の重力に引かれて起き、大きい破片は火星の地表にゆっくり落下する。一方、月の場合は地球からわずかずつ離れているため、落下する心配はない。
フォボスをめぐっては、米航空宇宙局(NASA)などの研究チームも今月開かれた米天文学会の会合で、3000万~5000万年後に崩壊するとの予想を発表した。
NASAチームによると、フォボスは火星の地表から高度約6000キロの軌道を回っているが、100年当たり約2メートルずつ、高度を下げている。フォボスは昔は堅い岩石と考えられていたが、近年では内部は小さな岩石が寄せ集まってできており、もろいと推定されている。
フォボスの表面には細い線状の溝が多数ある。小天体が表面をかすめるように衝突した「引っかき傷」との見方があるが、NASAチームは火星の重力の影響で表面が変形してできており、崩壊の兆候との見方を示している。


ウエラブル装置で手話を翻訳、米大学で開発

聴覚に障がいを持つ人のコミュニケーション手段のひとつに手話があるが、手話が理解できない健常者との意思の疎通にはどうしても壁がある。そのコミュニケーションの壁を取り除こうと米テキサスの州立大学では、ウエラブル技術を利用した装置を開発している。
テキサス農工大生物医工学のルーズベ・ジャファリ准教授らが中心になって開発しているのは、話者の指や手首から伝わる筋肉の動きを正確且つ即時に解析して言葉に変える仕組みだ。
同じ意味を持つ手話でも話者の癖によって微妙に違いがあるが、そういった癖も学習する高度な計算能力を備えた装置で、腕時計サイズにまで小型化し、合成音声と組み合わせることで、聴覚障がい者に「声」を提供できるのではないかと、同大学研究チームは期待している。

(アメリカ、カレッジステーション、11月24日、取材・動画:ロイター、日本語翻訳:アフロ)


「週末の朝寝坊」に心血管疾患や糖尿病のリスク:研究結果

学術誌『Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism』オンライン版に11月18日付けで公開された研究で、「習慣的な睡眠」を変化させると、心血管疾患や糖尿病などの長期的な健康問題を喚起する恐れがある、と発表された。休日の朝寝といった睡眠時間の調整は、インスリン抵抗性やBMIの上昇などの代謝障害に関連するという。

睡眠障害が健康に悪影響を及ぼすことについての研究はこれまでにもあるが、睡眠時間の変化を代謝障害に明確に関連づけたのは、今回の研究が初めてだ。これらの代謝障害は、睡眠障害や喫煙、社会経済的地位など、ほかの要因とは無関係だったという。

詳細な調査のため、ピッツバーグ大学のパトリシア・ウォン率いる研究グループは、447人の健康な中年層を対象にした7日間の調査を実施し、健康状態と睡眠習慣、食生活を追跡した。

被験者の正確な睡眠スケジュールを記録できるように、この調査の間ずっと、被験者たちは行動をモニタリングするリストバンド型アクセレロメーター「Actiwatch-16」の装着を義務づけられた。

また研究グループは、各被験者のモニタリング期間に、必ず休日前の夜が少なくとも一晩含まれるようにした。これにより研究グループは、被験者たちの仕事日と休日の睡眠スケジュールの違いを認識できた。(このような睡眠スケジュールの違いは、科学者たちの間では「ソーシャル・ジェットラグ」と呼ばれている。)

調査の結果、仕事日の睡眠スケジュールを休日も持続している被験者は1人もいないことがわかった。それぞれの被験者の睡眠時間の中央値に基づくと、休日には被験者の約85%が遅くまで寝ており、残りの15%は早く起きていた。全体として、被験者たちは休日に平均で44分間遅くまで寝ていた。中央値から前後に2~3時間のズレを示す者は少数だった。

一部の被験者は、平日の睡眠不足を補うために週末には長く眠っているようだ、と研究グループは論文のなかで述べている。

今回の研究によると、一般的に、仕事日と休日の睡眠スケジュールの違いが大きければ大きいほど、代謝系の健康問題への影響が大きくなるという。ソーシャル・ジェットラグの増大が、血中脂質の増加やインスリン抵抗性の悪化、ウエストの肥大、BMIの上昇、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の減少などと一致していたのだ。この相関は、研究グループが運動やカロリー摂取量、飲酒など、ほかの健康要因を調整したあとにも残存した。

このような毎週の睡眠変化は、「体内時計」を狂わせる。つまりこの問題単独でも健康問題を引き起こす恐れがある、と研究グループは推測している。論文のなかでは、たとえば、組織への脂肪の蓄積や、腸の食物吸収、すい臓および肝臓のインスリン分泌などは、すべて組織特異的な概日リズムを示す、と述べられている。


抗マラリア遺伝子持つ媒介蚊、繁殖成功 米研究

【AFP=時事】マラリア媒介蚊の遺伝子を「編集」して、発病の原因となる寄生虫を阻止する遺伝子を媒介蚊の子孫に持たせる実験に成功したと、米国の研究チームが発表した。マラリア蚊の撲滅に道を開く成果だという。

 蚊の遺伝子を組み換えて、マラリアを引き起こす「熱帯熱マラリア原虫(学名:Plasmodium falciparum)」と呼ばれる寄生虫を無害化できることは、ここ数年の研究ですでに判明していた。

 23日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に論文が掲載された今回の最新研究は、「クリスパー(Crispr)」と呼ばれる遺伝子編集技術の進歩を示すものだ。

 今回の遺伝子編集では、寄生虫を阻止する遺伝子をハマダラカ(学名:Anopheles stephensi)のDNAに挿入、蚊の子孫にこの遺伝子が確実に受け継がれるようにした。ハマダラカは、アジアでの主要なマラリア媒介生物だ。

 研究チームによると、子孫への遺伝子伝達率で99.5%を達成したという。

 論文主執筆者の一人、米カリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)のアンソニー・ジェームズ(Anthony James)教授(生物学・分子遺伝学)は「今回の成果は、この技術をマラリア撲滅のために適用できるという現実的な見通しを開くものだ」と語る。

■「大きな意義ある一歩」

 研究チームは、マラリア抑制抗体を運んでいる遺伝子編集ツールがDNAの適切な部位に到達したことを確認するために、子孫の目が赤色に蛍光するように作用する酵素を組み込んだ。

 子孫のほぼ全部(99.5%)がこの特性を示したことにより、遺伝子編集が目的通りに機能したことが証明された。

マラリア抗体の有効性を確認するには、さらに実験を重ねる必要があり、実験の積み重ねは最終的に現地調査の実施につながる可能性があるとジェームズ氏は指摘した。

「これは大きな意義のある第一歩だ」とジェームズ氏は話している。

「遺伝子が正常に機能することが、今回の研究で分かった。今回作製した蚊は完成形ではないが、この技術によって大型の個体群を効率的に形成できることが判明した」

 マラリアは、罹患(りかん)リスクのある地域に世界人口の40%あまりが居住しているため、世界の重大な健康問題の一つになっている。

 米疾病対策センター(CDC)によると、マラリアの新規感染診断数は年間3億~5億件、死者数は年間100万人近くに上っている。感染者と死者の大部分は乳児や小さな子どもや妊婦で、うち大半がサハラ以南アフリカ地域で発生しているという。【翻訳編集】 AFPBB News