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寄生虫の卵のんで、皮膚や腸を治療 慈恵医大が臨床試験

近未来の世界では寄生虫をわざと自分の体に寄生させて治療するのが当たり前になるかもしれません。以前はサナダ虫をわざと体内に寄生させることで痩せるという寄生虫ダイエットが話題になりましたが、絶対に副作用が無いと分かっていてもこの治療法には抵抗がありますね。しかし、それ以上に大きな成果が挙げられるという結果が報告されれば嫌でも浸透していくかもしれません。毒を以って毒を制すということわざもありますが、ノーリスクで実現できるようになればこれからの医療に大きく貢献しそうな研究だと思います。寄生虫にはまだまだ謎である部分が多いと聞きますから、もしかしたら現在治療が不可能とされている病気も特定の寄生虫を体内に飼うことで治してくれるなんて驚きの発見もあるかもしれません。そういえば、先日は海外のパンクロッカーがヘビの毒を少量ずつ毎日自分の腕に注射していたら、体内に何種類ものヘビの毒に対する抗体が出来上がっていたという衝撃のニュースを見ましたが、「毒を以って毒を制す」が本当にこれからの医療を変えていくことになるのかもしれませんね。

東京慈恵会医科大は、寄生虫の卵をのませて免疫状態に変化を起こす治療法の臨床試験を始める。まずは安全性を確認する。寄生虫によって一時的に感染症を引き起こすことで免疫システムを調節し、皮膚の病気・乾癬(かんせん)や潰瘍(かいよう)性大腸炎などの患者への効果が期待されるという。

「豚鞭虫(ぶたべんちゅう)」と呼ばれる線状の寄生虫の卵を健康な男性にのんでもらう。卵からかえった虫は腸に寄生、約2週間後に便とともに排出されるという。この虫は豚やイノシシに寄生し、下痢などを引き起こす。欧米での臨床研究では卵をのんだ人の便が軟らかくなるなどの事例はあったが、重い副作用は報告されていないという。

免疫システムは、細菌やウイルスに反応するタイプと、寄生虫や花粉に反応するものがある。一方が働くともう一方は抑えられ、バランスをとりあうとされる。乾癬や炎症性の腸の病気の患者は、細菌に反応する免疫システムが過剰に働いているとみて、寄生虫にわざと感染させ、病気の症状を抑えようとするのがこの治療法のねらいだ。

嘉糠洋陸(かぬかひろたか)教授(寄生虫学)は「長い歴史から見れば、寄生虫など自然との共存が本来のかたち。アニサキスやサナダムシなどの寄生虫は日本人にとって身近な存在。効果が示せれば、この治療法も受け入れられるだろう。慢性化しやすい腸の病気などの治療法の選択肢を増やすことにつなげたい」と話している。(福地慶太郎)