「HIV感染者は診ない」病院に断られ… 風邪や腹痛、市販薬でやり過ごす 偏見、今も根強く

医者がHIV感染者を差別するようではいつまで経っても日本にてHIV感染者に対する偏見や差別がなくなることは無いでしょう。しかし、自分が医師や看護師の立場になって考えた場合、やはり「もしかしたら事故で自分に感染してしまうかも!?」という不安が常に付きまとってしまうのも事実ですから、たとえ医療関係に身を置いていたとしても一人の人間である以上HIV感染者の診察を拒否したくなる気持ちも理解できてしまいます。ただ、現在はHIVを完全に治療することは不可能でも発祥しないように抑えることは可能とは言え医師に見捨てられてしまったら生きる気力そのものが失われてしまいます。現在は薬さえしっかりと飲んでいればエイズの発祥を抑えられますから死亡に至るケースはかなり減少したようですが、たとえ肉体関係を持たなくても医療事故などで他人に感染する可能性がゼロでは無いためHIV感染者に対する偏見や差別が一向に減少しないのかもしれません。

エイズやエイズウイルス(HIV)の治療は進歩しているのに、理解が進まない。患者や感染者への偏見は根強く、日常的な医療・福祉サービスを受けられない人も少なくない。正しい知識を広め、差別や偏見を解消することが感染予防に直結する。世界エイズデー(1日)を機に改めて考えた。

 「HIV感染者は診ない」と何度も断られた。風邪や腹痛は市販薬でやり過ごし、虫歯になると必死で歯科医を探す。福岡市の男性(60)はHIVに陽性と判明した8年前から、地域の病院にほとんどかかれなくなった。

医療機関には、患者の血液が付いた器具で誤って外傷を受ける「針刺し事故」への不安が根強い。実際には、標準的な感染症対策を取り、治療中の人ならほぼ感染しない。正しい情報が医療従事者にも行き届いていない。

陽性の告知「もう死ぬんだ」

 男性自身も知識が乏しかった。同性間の性的接触で感染するケースが多いと知りながら、仕事でなかなか検査を受けられず、保健所が特別に実施した夜間検査にやっと足を運んだ。1カ月後に陽性の告知。「もう死ぬんだ。人生が終わった」と頭が真っ白になった。

すぐに治療が始まった。厳しい経過を想像していたら、意外にも1日1回、昼食後に薬を飲むだけでHIVを抑え込めた。一方で「薬に詳しい人が近くにいたら…」と思うと人前で服薬できず、トイレに隠れて飲んだ。家族にも話せず次第に孤立。体は戻っても、差別を恐れるあまり、心がむしばまれた。

ゲイやバイセクシュアル男性への予防、啓発に取り組む団体「Haco」(福岡市)と出合って立ち直った。今は仕事も恋愛も楽しんでいる。「陽性者の姿を知ってもらえば偏見がなくなるはず」と陽性者の集いを開き、行政や医療機関で体験を語っている。

「早急に理解を深める必要がある」

 地域におけるエイズ医療の核となるブロック拠点病院。九州では国立病院機構九州医療センター(福岡市)が担い、ソーシャルワーカーの首藤美奈子さん(44)は月1回、正しい知識を広めるため、医療機関や福祉施設に出向いている。転院や介護施設への入所が必要な人が拒絶され、適切なサービスを受けられない現実を見てきたからだ。

10年前に比べれば理解は進んだものの、今も受け入れを求めると半数は断られる。首藤さんは「高齢化が進む一方で、病気を打ち明けられずに家族と疎遠になる人も多い。地域の医療機関や福祉施設の利用が必要な人は増えると見込まれ、早急に理解を深める必要がある」と訴える。

厚生労働省によると、九州は昨年、新規報告件数がHIV感染者94、エイズ患者は過去最高の75。全国の横ばい傾向に対し、増加が目立つ。Hacoの牧園祐也代表(34)は「偏見、差別をなくすことが検査を受ける人を増やし、結果的に感染予防につながる。社会全体で考える問題だ」と強調する。

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